Vol.01


 「N学院」の話をしようと思っていましたが、昨日「管理建築士資格取得講習」が行われ、その講習を受けて感じたことを先にお伝えします。

又か・・・と思うほどコロコロとよく変わる建築基準法だが、今回は建築士法も改正(悪)されてしまった。

これらは全て「姉歯の耐震偽装」から端を発しているのだが、変えられた法を見る度に本末転倒なものに思えて、うんざりしてくる。

何度も同じ様なことを言うようになってしまうけれども、法が改正されるということは、何らかの事件が起きて世間を騒がせ、その上被害者を出すからだ。

だから、法を改正する主旨を読むと決して悪くはないのだが、いざ法文になって出て来たものを読むと「なんでこんなになるん!」と思えるものばかりになってしまっている。

 さて、そこで今回の講習だが、講習名が「管理建築士資格取得講習」となっているのだが、さてはて?「管理建築士」に「資格」が必要とは一体何だ?!である。

そもそも「管理建築士」とは、病院で言えば一般的に「院長」のようなものだと思って貰えるとよいと思うが、医師法に基づいても医師である「院長」に「院長資格」なんてあるわけがないのは周知の事実だが、今回建築士には資格としてこれを持ってきたのである。

では今まではどうだったかと言えば、「医師」がなっている「院長」と同じで「建築士」の資格を持った者が、その設計事務所の建築士の代表として「管理建築士」になっていた。

それが突然「管理建築士」には「資格」が必要であるといってきたのだ。

どのように贔屓目に考えてみても「姉歯事件」と「管理建築士資格」は結びつかない。

これが先ほど言った「法の主旨」はよいと思うが、法文になって出てくるとこの有様である。

姉歯事件の根本原因は、一に「個人の資質」二に「建築士の地位」の問題であるのだが、国交省の官僚はこれが全く判っていない。

「建築士」を法でもって、がんじがらめに縛って窮屈にして解決できる問題ではないのに、何度も対処療法のこれをやってくる。

世間知らずの「坊ちゃん官僚」ではやはり根本的な解決は出来ないと言うことだろう。

何度も言うようだが「設計実務」を知らない「官僚」が設計実務に関わる法を作ること自体本末転倒であり、世間では有識者と言われていてる「大学教授」も同じく「設計実務」の経験を持った者は殆どいない。

こんな輩が相談して法を作るのだから、又今回のような理解が出来ない法が出来上がってしまうので、始末が悪い。

 今回講習を受けた全員がこう思っていたに違いないし、休憩時間にはその不満の声が廻りのあちこちから聞こえていた。

朝9時過ぎから18時近くまで、ほぼ丸一日の講習だったが、はっきり言って中身は実りある講習ではない。まあ何時も講習とはこの様なものではあるが、もう少し講習の中身を充実できないものかと思ってしまう。

これは「ひねくれ者」の私だから思うことではなく、殆どの人が「講習」については同じ様な思いをしていると思っている。

しかし「やる側」はそう思っていないのだろう・・・きっと講習を行ったことで効果があり、この世が良くなると考えているのかと思うと、思わず笑ってしまう。

高額の講習費用を取っておきながら、中身は殆ど何もないと言ってよいのだ。まあ、この様な講習では何時も講習用に作成された本を棒読みする講師ばかりだからそう思わざるを得ないのだろうが、講師の選定には気を配って欲しいものである。

今回の講習では「設計瑕疵」に関する「保険」の話をした講師の話は比較的良かったが、この「保険」は消費者保護を謳い文句にしていることは良いとしても「建築士事務所協会」や「建築士会」などに属さない設計事務所は、あたかも「低質な設計事務所」であると言わんばかりの扱いには閉口した。

兎に角今の日本は「何が主」で「何が従」かが錯綜していてはっきりと見えてこないから、物事の「本質」が見えず混乱が起きるばかりだ。

そして、「管理建築士資格取得講習」が終わって、最後に「資格取得の試験」が行われたけれども、これは当日に講習の本を渡されて、講師に本の中身を飛びに飛ばされ(重要なところを抜粋して話していると言い訳しているが・・・)、棒読みされた挙げ句の試験である。

試験は二択で30問だったけれども、当日講習の当日試験を行うことで、本当に国交省が望む「管理建築士」としての「資質」や「能力」が持てるものなのだろうか・・・の疑問は拭い去れないままだ。

 先日「姉歯事件」の折に国会答弁をした当の「国交省の官僚」は、以前に当ブログでもお話ししている私と同じ柳井高校を卒業した一つ先輩である。

先月、その先輩と話す機会が数度持てたので、これは丁度良い機会だと、「あなた方が作った法律のお陰で国民皆が迷惑している」と、私がブログで書いている内容を伝えたけれども、「川田さんに又うるさく言われるから・・・」と閉口されてしまい、余り手応えを感じられなかったのが残念でならない。

次の機会に再度と・・・今後彼の耳にタコができるほど話すつもりでいる。